選手から見たNCAA、アメリカスポーツ界、スポーツ留学とは その2

前回に引き続き、先日10月15日に、NCAAディビジョン1 ジョージア大で全額奨学金を受けテニス留学をし、在学中に全米大学選手権ダブルスで準優勝、ダブルスランキングでは一時全米ランキングトップに上り詰めたという素晴らしい実績を持つ小和瀬麻帆さんを招いて「選手から見たNCAA、アメリカスポーツ界、スポーツ留学」というテーマで行ったセミナー、及び7月のKEIO X そしてその前の打ち合わせの話も含めまとめたものをご紹介します。

今回は第二弾です。

 

Qアメリカの大学は文武両道といわれてますが勉強面では実際のところどうでしたか

(小和瀬さん)遠征はベッドが12台もついているジャスティン・ビーバーのようなエンターテイナーがツアーで使うような仕様の大型キャンピングカーのような快適なバスで移動。日中の移動は机を囲んでみんなで勉強しました。

NCAAのルール以上一定以上成績を上げないと公式戦に出る事ができません。コーチが成績を常に把握していて(正確にはアカデミック・アドバイザーが把握し、コーチにも週一度共有しています)、危険領域に入ってきたら、練習禁止通達が出ます。運動部でチューター(家庭教師)も揃えているので、テニス部では何とか成績が悪くて試合に出れなかったという選手はいませんでした。

留学1年目は、とにかく授業が大変でした。ただアドバイザーと相談し、留学生にとっても比較的易しい授業ばかりを取りなんとかやり抜けました。数学は英語力あんまり関係ないので、大丈夫でした。学業面ではアドバイザーや家庭教師がきっちりサポートしてくれました。

またスポーツの面では、スポーツ心理学の専門家や専門のトレーナーにいつでも相談できる環境だったり、MRIなどの検査でも費用が発生することはあり(通常だと2000ドル=約22万円ほどかかる)、これもジョージア大ならではの待遇かもしれません。

ここから、同じようにNCAAディビジョン1セントボナベンチャー大学で奨学金を受けて野球留学した寺嶋大賜君もゲストパネラーとして途中から登壇し、ジョインていただきました。

 

Qアメリカの大学スポーツのもう一つの特徴としてスポンサーのスポーツブランドの存在がありますが

(小和瀬さん)ナイキがスポンサーで、毎シーズン前に大きな袋にウエアやシューズなどが入ったナイキのスポーツグッズが部員に配られていました。

(大賜君)うちはアディダスがスポンサーだったので、ランニングシューズ、スパイク、バット、手袋が全員に配られた。ただそれは強制的にそのグッズを使わなければいけないことを意味します。

でも、僕はアディダスのスパイクがどうも足に合わなかったので、コーチに相談したところ、他のメーカーの靴を履くなら、医者に診てもらって、きちんと診断書を提出してようやく他のメーカーのシューズが履けました。逆に診断書がないとアディダス以外の靴を履くことはできません。認められても他社の場合はロゴを消すようします。このあたりのスポンサー配慮は徹底しています。

 

Q奨学金について

(大賜君)さきほど小和瀬さんも男子のテニスでの奨学金争いについてお話していましたが、野球部でも来年この選手がドラフトされたり、卒業したりすることで、奨学金枠が空くことになります。そういうことをみんな頭に入れながら、モチベーションにしてプレイしていました。

 

Q練習時間について

(小和瀬さん)練習時間はNCAAの規定で決められています。テニスの御コートのトレーニングは春20時間/週、1日2時間程度。コーチとのプライベートレッスンは可能。その他にアジリティやランニング、リフティングのトレーニングが毎日1~2時間ありました。秋は8時間/週

日本で朝から晩まで練習やって、たくさん練習して自信を得るタイプだったので、最初は物足りない感で不安に。次第に慣れてきて、練習量ではなく、明確な目的を持って、質の高い練習ができるように心がけました。それにより練習量を日本の時ほどやらなくても勝てるようになり、試合で自信をつけるように。また、気持ちの切り替えができるようになった。

 

(大賜君)僕も日本では朝3時から練習していた時期もあったぐらい、高校時代は相当量練習をしていたので、アメリカの練習は「これだけ?」と物足りない感はありました。ただ試合数は多く、例えば僕のいた学校では3月から5月の間に50試合以上こなすスケジュールで、試合をこなすことで練習をしていく意識となりうまくなっていったと思います。

 

日本人の可能性

(小和瀬さん)日本人は練習をよくやっているので基礎がしっかりしています。コーチからも「良い日本人の選手はいないのか?」とよく言われます。

アメリカの大学の数は多いので、日本人がプレイできるチャンスは十分あると思います。

(大賜君)日本人のまじめさ、熱心さは評価されています。自分は高校野球時代に鍛えられたことがアメリカでやっていける元になりました。高校野球で鍛えられ、真剣に取り組んできた生徒はチャンスがあると思います。

 

聴衆者からの質問

NCAAディビジョン1,2,3とあるが、やはりレベルは1の方が2より上か。

(小和瀬さん)チームによる。ディビジョン1のトップクラスは本当に一番上のレベルだが、ディビジョン1、2,3それぞれ300-400ぐらいあり、ディビジョン1でも中から下のチームよりディビジョン2の上のチームの方が強かったりすることともあります。

(大賜君)小和瀬さんの言うようにディビジョン1が必ずしも強いというわけではないと思います。僕も最初の2年は2年制大に行き、そこから4年大(ディビジョン1)に編入しましたが、2年大の時はNCAAディビジョン1のチームと試合をし、勝ったこともあります。

 

(モデレーター根本より)NCAAのディビジョン1、2,3はチームの強さというより、スポーツへの予算のかけ方の違いで分かれています。ディビジョン1になるとよりお金が必要という理由や学業優先という学校の方針などで、あえてディビジョン2にとどまっている学校は存在します。たとえばUCSD カリフォルニア大サンディエゴ校などはそのような方針でディビジョン2にとどまっているという話を以前アスレティックディレクターから聞いたことがあります。

(最近はUCSDもディビジョン1を目指すように方向転換を検討しているという話も伺ってはいますが)

 

 

僕も私もアメリカの大学でスポーツ留学したい→ アスリートブランドスポーツ留学

 

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