【アメリカ大学テニス留学経験者インタビュー】
米ネバダ大学リノ校で全額奨学金を獲得しテニス留学された渡部健介さんのインタビュー第2弾です。
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Q大学テニス留学生活で困ったこと・大変だったこと
留学直後は、日本でのあたり前がアメリカではあたり前でないなどの様々な違いや、英語が通じなかったころは、いろいろと困りましたが、英語ができるようになってからは特に困ったこと、大変だったことってあまりなかったですね。基本、だいたい楽しかったです。
Q行ってよかったと思えること
まずは自分という考えに軸ができたこと。それぞれが自分を持っているアメリカだと自分をしっかり持っていないと右にも左にも流されてしまいます。
流されないように自分の軸を持つという考え方が身につきました。
そしていろんな仲間に出会えたことです。
アメリカには様々な国の人間が集まってくるので、テニスを通じそのような様々なバックグラウンドを持つ仲間ができ、いろんな仲間の考え方に触れ、視野が広がりました。
Qアメリカの大学卒業後は
卒業後はOPTという制度を利用して大学でアシスタントコーチをする傍ら、プロサーキットでアメリカ中を転戦していました。プロ世界は厳しく活躍というものからかけ離れたものでした。OPTが終わったら大学院でも行こうかと考えていたところ、先輩から来たシンガポールのテニスアカデミーでコーチを探しているという話を聞き、そのアカデミーに就職しました。
そのアカデミーでは日本の駐在員のご子息だけでなく、アジア諸国から選手が集まってきて、短期・長期プログラムでのレッスン、ジュニアのみならず大人のレッスン指導もしました。
そのあと帰国し、ご縁があって福田創楽選手のツアーコーチを務めることになり、そのあとは伊達公子さんのツアーコーチ・ヒッティングパートナーを務める機会をいただきました。
ツアーコーチとはいわゆる普段の練習でコーチを務めるホームコーチとは異なり、ツアー中に選手のそばにいてテニスの指導だけでなく、戦術を組み立て、長い遠征(ツアー)を通じてどう生き残るかということを考えていかなければなりません。また選手は長い遠征を行うので心身とも疲弊します。従ってコーチは時には選手の心に寄り添い相談役になるような存在で、海外ではよく知られていますが、日本ではまだまだなじみが浅い考え方です。
日本ではホームコーチと兼任する場合は多いですが、海外ではホームコーチとツアーコーチでチームを組んで選手のサポートにあたることも少なくなく、二つのコーチという考え方は浸透しています。
Qトップアスリートのコーチ、マネジメントをされていての気づき
伊達選手とご一緒させていただき、伊達選手がなぜあそこまで上り詰めたのか、世界のトップレベルで活躍する選手とそうでない選手の差というようなものが見えてきました。
テニスに捧げている圧倒的な時間量。コートの中のことだけではなくコート外においても常にテニスのことを考え、テニスに打ち込む徹底した姿勢に感銘を受けました。
それ以降、テニスコーチとしての僕の考え方も変わりました。
Qアメリカの大学アスリートの考え方
日本でジュニアの選手は18歳になったらプロになるということを目指してプレイしています。
アメリカはまだ18歳だとメンタルもフィジカルも成長途中。テニスのトレーニングをしながら、学問で視野や見識を広げ、人間的に成長し、大人になっていくという目的で大学に進学する選手が大半です。
またアメリカ以外でもディビジョン1までのぼりつめた選手が、テニスをさっとやめ、テニス以外のことを仕事にする選手は少なくありません。
僕のチームメイトで南アフリカから来た選手は当時世界ランキング200位まで行ったチャンスのあったのにテニスを引退し、大学院に進み、公認会計士になった選手もいました。
学生時代からきちんとテニス後のライフプランをしっかり持っているのです。
Qアメリカ大学テニス界での日本人の可能性、評価は
日本のジュニア選手がアメリカで活躍する可能性はたくさんあります。日本人はダブルスができる。向こうの人はダブルスが下手な人がたくさんいます。ダブルスができるということはアメリカ人コーチにとって大いに評価されます。また日本人テニス選手はたいてい勤勉です。勤勉な選手もアメリカ人コーチには好まれます。
レベルでいうと全国大会、地方大会出場選手は十分チャンスがあります。また都道府県1,2回戦レベルでもチャンスのある大学はあるとおもいます。
Q日本のジュニア層へひとこと
Fail First (まず失敗せよ) ということ。テニスは失敗の連続です。失敗から学ぶケースが圧倒的に多いスポーツです。
日本は失敗=だめなこと と教えられる風潮がありますが、アメリカでは失敗は挑戦したことという証で認められます。
今の人生を変えたいなら挑戦しか道はありません。挑戦することで良いことも悪いことも学び、次世代の選手たちへは魅力を備えた人間力を身につけて欲しいと願っています。
<終>
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渡部 健介氏
小5でテニスを始め、ジュニアの全国大会出場、高校卒業後はアメリカへ留学。University of Nevada,Reno(ネバダ州立大学)にて心理学専攻。大学のテニスチームに所属、NCAA Division1(全米1部リーグ)にて4年間プレー。4年時にはキャプテンを務め、文武両道を重んじた学生生活を送る。大学卒業後はプロトーナメントに参戦するも、早々と選手活動に見切りをつけ、2007年よりテニスコーチとしてのキャリアをスタート。シンガポールのアカデミーで5年間選手育成と強化を中心に国籍問わず3歳から80歳までのテニスプレーヤーの指導に幅広く関わる。約15年間の海外生活から得た経験を活かし、福田創楽選手(現在プロ)のコーチとして世界各地の国際大会遠征に帯同。同時期に修造チャレンジのサポートコーチも兼任。JOC(日本オリンピック協会)事業の一環で 男子ジュニアナショナルチーム遠征にも帯同。その後、伊達公子選手のヒッティングパートナー兼コーチとして遠征に帯同。現在はスポーツを通じてあらゆる角度から世界を舞台にした人材育成、強化、マネジメントの三本柱を構築中。またスポーツを通じて世界との競争経験から、世界に挑戦するだけではなく世界との競争を対等に渡り歩く真のリーダーシップ人材育成に取り組んでいる。
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